<父の体験談1>あの東日本大震災を予知していた⁉
私の父は、普段は寡黙だがいったん酒が入るといつもの口数の何倍もの勢いでしゃべり出すという、ある意味で陽気な生態系をもっている。定年後はタバコをやめ、酒も極力控え、ゆったりとした隠居生活をおくっている。
そんなある日、私と父が2人で茶の間でテレビを観ていた時だった。その時は、おそらく震災関連の話をしていたと思われるが、その会話中、私がこれまでに思っていた父親像とは全く異なる、想像もしていなかった衝撃的なことをこのように話し始めた。
父「しかしそう言えば、あれはほんとにおかしな出来事だったんだけど、急に
頭の中がグワンってなってな、家中がものすごく揺れ出したんだよなぁ」
私「……はぁ?」
父が突如として言い放ったこの言葉に、私は何のことかさっぱりわからず、これでもかというほど父の顔を凝視していたが、その言葉を言った父でさえも、よく理解ができていないという様子でこう続けた。
父「いやな、あの地震が起こる前の年に、隣のAさん(大工さん)の家がきれ
いに(新築)出来上がったよな。それでたまたま用事があって、Aさん家
に行ったんだよ。そしたら、どうぞどうぞって家の中にあげてもらってな、
広い茶の間とかすごい太い柱とか見せてもらったんだ。さすが大工さんの
家だなぃって思ったな」
私「え? 隣のAさん家のことなの? …それでそれで?」
父「その太い柱を見せてもらってた時にな、急に頭の中がグワンっていう感じ
になって、場面が変わったんだよな。そしたら、その柱とか家の中が(頭
の中で見えている映像が)、ものすごく揺れ出したんだよ。あらら、これ
は大きな地震なんだなって、すぐわかったな」
私「地震!? なにそれ、地震の予知でもしたの?」
父「……今思えばそうなんだな。そして、その時にAさんにこう言ったんだよ。
「あのね、来年か再来年ぐらいに大きな地震が来て、この家もかなり被害が
でるかもない」ってな」
私「言ったの!? 新築の家なのにそんなこと言ったの!? すごい度胸だよそれ」
父「そしたらな、苦笑いしてたわ。そんな冗談やめてくださいよってな (笑) 」
私「当たり前だわ(笑)」
父「でもな、ほんとに次の年に大地震が来たからな。まあ、Aさんもビックリ
したと思うぞ」
事実、父の予知?通り、Aさんにこの話をした翌年に大震災が起こり、Aさんの家の壁には大きなヒビが入るなどの被害が出た。そして震災後に、Aさんが父と会った時に、「いやぁ、あの時の話がほんとになっちゃいましたね…」と、冗談と思っていたことがまさか本当に起こってしまったことについて、少し複雑な様子を見せていたという。
父が見た(頭の中に映像として現れた)未来の出来事が、現実として実際に起こったことを考えると、これは「予知能力」の1つと思われるが、私としてはまだこの時点では半信半疑といった認識だった。
だが、驚くのはその後だった。もしかしたら私の父は、「一種の能力者なのではないか!?」とさえ思ってしまうほどの、「予知」ともとれる体験をいくつも語り出したのだった。
しかし、ここで残念なことが1つあるのだが、私が父に「こういった予知のような不思議な出来事を他人に話をしてもいいか」と尋ねると、「いや、あんまりそれは話さないでほしいな」と断られてしまった。
その理由を聞くと、まずはやはり、こういった話は他人には信憑性が疑われることであり、現実として実際に起こった出来事ではあったとしても、どうしても不信を招くおそれがあることを父もよく理解していたのだ。そのため、私たち家族にすら、今まで口を堅くして話をしなかったのだという。その気持ちはよくわかる、むしろ私も全くの同感だ、と納得した。
ただし、この<父の体験談1>の内容については、すでに隣の家の大工さんであるAさんもこの事実を知っていることと、父から一応の内諾を得た意味でも掲載したが、その他の話については父から承諾を得ていないため、詳細については省略したいと思う。
それと同じく、母からも「金縛り」に関して体験談を聞いたのだが、これも承諾を得られていないため、掲載を省略する。とりあえずは、父と母から聞いた話の簡単な内容を、下記に紹介するまでにとどめておきたい。
<父の体験談2>とある監禁事件で、犯人と被害者の様子が頭の中に浮かび、場所
も特定した。その後のニュースで全く同じ内容が放送された。
<父の体験談3>野球の試合で、打席に立ったバッターがホームランを打つ姿が見
え、何打席目でホームランを打つかまで予知した。
<父の体験談4>工場で勤務中、動くはずのないクレーンが突然動いたように見え、
翌日にそのクレーンが落下し、危うく事故を招くところだった。
<父の体験談5>大震災の1年ほど前に、とある場所で土砂崩れが発生した夢を見
る。その場所が、大震災で被害にあった場所と一致した。
<父の体験談6>妹が結婚する数年前に、結婚相手の男性の名字が頭に浮かぶ。そ
して妹が実際に結婚した相手の名字がまさにそれだった。
<父の体験談7>次の大地震が来る地域は……。
<母の体験談1>夜中に金縛りになると、いつもだれかの気配を感じる。
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